文章について勉強したいけど、どんな本を読めばいいかわからない
文豪やプロの技をまねしたい
文章本100冊分のエッセンスが凝縮された本があります!
効率的に文章力を上げたいってだれでも思いますよね。でもどれを読んでいいのか。そんな悩みがある方におススメできるのが「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」です。
中身はタイトルそのまま。文章術の有名書籍100冊を著者が読み込み、共通するノウハウをランク付けしたものになります。
ランク付けされているということは、初心者ならまず上位をおぼえるのに集中すればいいということを意味します。
文章を書くことに慣れている人や文章を書くことを仕事にしている人は中位、下位ランクのノウハウを学ぶことで、よりスキルアップできます。
文章力をアップさせたい学生やビジネスマン、ブロガーなどあらゆる人の文章力につながるということです。
効率的に文章力を上げたいなら必ず読みたい一冊。100冊分まとまっているということは、これを読めば、ほかの本は読まなくていいかもしれませんね。
書籍名 「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。
著者 藤𠮷豊 小川真理子
発行元 日経BP
発行日 2021年1月12日
ページ数 253ページ
著者の藤𠮷さん、小川さんは現役ライター
著者の藤𠮷豊さんと小川真理子さんは、これまでに女性誌や男性誌、ビジネス誌などさまざまな文章の編集、ライティングをしてきたライターです。
共に2018年、「文章の書き方」と「書く楽しさ」を伝える会社「文道」を設立しています。
藤𠮷さんがもっとも大切にしているのが「愛語の実践」だそう。禅の言葉のひとつで「心のこもったやさしい言葉」「親しみのある言葉」「愛情のこもった言葉」のことです。
「書く力」は読み手の人生を変えるほど大きな力を持っているとの考えから、言葉を非難や中傷に使うのではなく、勇気づけたり元気にするために使いたいという信念をお持ちです。
小川さんも藤𠮷さんと同じです。ときに「ペンは剣よりも強し」といわれますが、小川さんは「人を守る言葉」を使いたいといいます。
精神論かもしれませんが、SNSで簡単に人を傷つけてしまう時代。いつも意識しておきたいですね。
「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」の概要
「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」 を発行するにあたって、文章のプロである著者が考えたのが、「『文章のコツ』として、多くのプロが大切にしているルールから順に身に着けてもらおう」というコンセプト。
藤𠮷さんと小川さんの2人で100冊を読み込んで共通ノウハウを抜き出し、ランキング付けまでしてくれました。
めちゃくちゃ手がかかる作業で頭が下がります
1~7位が基本ルール。初心者からすぐに活かせるルールが並びます。
8~20位は、さらにスキルアップするのに必要なノウハウ。
21位~40位は意見が分かれるものの、大変参考になるノウハウがまとめられています。
一般の人なら1~7位を意識するだけでどんな場面でも「わかりやすく、正確な文章」が書けるようになりますよ。
これほど大変な作業をしようと思ったのは、「文章を学ぼうとする人がたくさんの本があるためどれを選んでいいいのか分からなくなる」と考えたのが理由だそうです。
「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」のポイント3つ
著者がすべての人に必要な基本ルールとしてあげている上位7つのノウハウのうち、ぼくが大切だと考えた3つを選びました。
1.余白やひらがなで「見た目」をうつくしく
※3位の「文章も『見た目』が大事」より
文章はただ読みやすい文を書けば読まれるというのは間違いです。
新聞や雑誌もなるべく文字だけにならないように、写真や図表の配置が考えられています。特に意味はない写真も記事のイメージに合わせて配置されることがありますよね。
一番わかりやすいのがブログです。
たくさん改行して余白をつくっているし、目立たせたいポイントは枠で囲ったり、色をつけたりして強調しています。
Webの記事はだいたい無料。有料で読む新聞や雑誌は買ってもらった時点で読んでくれることがほぼ確定しています。ブログは実際に閲覧してくれても、無料なので関心なければ一気にスクロールされて離脱されて終わりかもしれません。
その前提に立ち、余白や装飾、ひらがなをうまく使って読者の目をとめてもらう工夫をしているのです。
ライティングの基本は読んでくれている人への思いやりだということを改めて学びました。
2.時間をあけて読み返そう
※4位「文章は必ず『推敲』する」より
実はぼくはこれが最も大切だと感じています。
ぼくの本業である報道ライターも同じなんです。締め切り間際に書き上げた原稿は大抵出来が悪い。
簡単な誤字脱字も何度読み返しても見落とすことがあります。
「推こうはほどほどでいいや」とあきらめたとき、間違いが潜んでいるものです。
ブログ記事でやっている人は少ないかもしれませんが、「これは」という渾身の記事は紙に印刷して読み直すべきです。違う形で眺めると発見率が高まります。
自分で見直すときに一番効果的なのは、時間をおくこと。半日、1日、1週間。空けばあくほど先入観なく文を読めます。
要するに、分かりやすい文章を書くコツは、「早めに着手して余裕をもって書き終える」。実は報道機関でもあまりできている人いません。企画書や提案書、レポートを求められているときは、早く着手する。これに尽きます。
推こうを繰り返すのも、読み手への思いやりですね。
3.接続詞で読み手を案内しよう
※7位「接続詞を『正しく』使う」より
本書で主に説明している接続詞は、以下の2つ。
【順接】前の文が原因・理由で、その順当な結果の文が続くとき…「だから」「したがって」など
【逆説】前の文から予想される結果とは逆の結果の文が続くとき…「しかし」「ところが」など
順接は削れることが多いですが、逆説はないと意味不明になるのでなるべく残します。
順接の例
大規模金融緩和でお金の量が増えており、そのため、資産価格が上昇している。(接続詞あり)
大規模金融緩和でお金の量が増えており、資産価格が上昇している。(接続詞なし)
意味や読みやすさは変わりませんね
逆説の例
資産価格が上昇している。しかし、賃金が思ったほど上がらず、庶民に恩恵が行き渡るのはいつになるのか分からない。(接続詞あり)
資産価格が上昇している。賃金が思ったほど上がらず、庶民に恩恵が行き渡るのはいつになるのか分からない。(接続詞なし)
「しかし」がないと文意を少し考えてしまいます
本書中、著者が引用している言葉がありました。ものすごくわかりやすいのでここでも引用します。
逆説以外の接続詞はなくていい、ということではないんですね。
接続詞には削りやすい順接と残した方がいい逆説のほかにもたくさんの使い方があります。
2つ以上の文を並べる並列「また」や「かつ」、前の文に追加する付記「さらに」「そのうえ」、前の文と後の文を比べる対比「一方」「他方」などです。
スクロールされて読み飛ばされがちなWeb上の文章の中に「つまり」のように分かりやすく言い換える文につなげる接続詞や、「このように」のように結論につなぐ接続詞があれば、結論を早く知りたい読者の目の動きを止める効果が期待できますね。
接続詞の使用は書き手にもいい効果があります。
「よって」「そのため」などの順接や、「また」「さらに」などの並列は、つい多用する接続詞。だいたいなくても読めますね。
とはいえ、執筆しながら頭を整理するには、一呼吸置いたり文と文の間をつなぐ接続詞は不可欠です。
著者も完成文を読んで不要だったら削ればよいと呼び掛けています。接続詞は必ずしも不要ではありません。
いなかったら困る名脇役のようなものですね
まとめ 文章力を上げたいならランキング上位を極めよう
本書で挙げられているベスト40の中から、たった3つだけポイントをのぞきました。
3つだけでも盛りだくさんです。
文章に関する本を100冊読み込んでデータ化した結果ですから、これ以上なんの文章本を読めばいいの?と思ってしまうレベルです。
今回見た上位のポイントは基本レベル。中上級者はさらにスキルアップできる内容が盛り込まれているので、プロでもおススメです。
コメント