築古アパートなんか買ってどうする? みんなが感じる出口戦略の不安と対策

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築古アパートなんて買って、運営を続けられるの?

かえってお金が減りそうな気がするなあ……

そんな不安を抱えていませんか? 築古アパートは高利回りを狙える不動産投資の一つとしておすすめされることが多く、実際、安定経営できる「掘り出し物件」も眠っています。

ぼくは今年、築35年近い世帯数8戸のアパートを買いました。何せ初めての築古なんで、「買っていいものか」と真剣に考えましたよ。

購入した収益不動産の最終的な成績が分かるのは「出口」を迎えたときです。

果たしてこの古い物件の出口はあるものなのか。そりゃ不安になります。「売れるのか」とか、「運営を続けられるのか」とか。

この記事では、築古アパート投資の出口について考えます。リスクを最小限に抑え、リターンを最大化するにはどうすればいいのか。

銀行員時代に不動産鑑定士試験に合格し、十数件の投資物件を運用した不動産ライターの考えです。よかったらお目通しください!

40代後半・未経験でも始められる副業アパート経営
目次

築古アパートなんか買って大丈夫なの?

築古アパートはリスクが高そうに見えますが、副業収入を求めるサラリーマンにとって魅力的な投資対象になり得ます。

ここでは、築古アパート購入のメリットとデメリットを解説します。

 築古アパートのメリット

高利回りが狙える

築古アパートの最大の魅力は、何といっても高い利回りが狙えること。新築に比べて購入価格が安いため、家賃収入に対する利回りが高くなりやすいです。

ぼくが買った3300万円の木造アパートの利回りは12%強。不動産投資初心者向けの有名な書籍の中には、利回り13%が目安になると書かれているのを見たことがあります。

残念ながら届いていませんが、ぼくが探していたエリアは人口が集中しているため10%を切る築古アパートが多く、12%でも高めでした。

減価償却で節税できる

築古物件なら減価償却による節税効果も期待できます。木造で法定耐用年数(22年)を超えた物件は、減価償却費を計算する際の耐用年数が4年で計算されるため、その4年間は建物の減価償却費を多く計上できます。

例えば、私が購入した築古物件では、4年間は毎年250万円ほどが減価償却費として計上されます。年間の家賃収入は400万円ほど。管理委託料や固定資産税、修繕費などの実際の支出を差し引いても、もちろん収支は大きなプラスです。しかし、減価償却費250万円を計上することで、税務上は数十万円の赤字となります。

ここで重要なのは、減価償却費は帳簿上の費用であり、実際に現金が出ていくわけではないということです。つまり、実際にはプラスの収支なのに、税務上は赤字になるため、給与など他の所得と損益通算ができ、結果として節税につながるのです。

建物の価値下落が緩やか

築古アパートは資産価値の下落リスクが比較的低いのも特徴です。不動産の価値は「土地」と「建物」から成り立っていますが、築古アパートの場合、すでに建物の価値が大きく下がっています。

例えば、HOME4Uによると、木造アパートの建築費は1坪当たり77万円以上かかるそうです。

私の物件の床面積は110坪ほどなので、今の市況で新築すると9,000万円前後の費用がかかると推定されます。

しかし、ぼくが購入したのは、土地価格2,300万円、建物価格1,000万円、合計3,300万円のアパートです。新築あるいは築浅の状態と比較すると、建物の価値はすでに大きく下がっていることがわかります。

このように、築古アパートは建物の価値下落が小さいため、全体の資産価値も比較的安定します。一方、新築アパートは購入直後から建物の減価が始まるため、全体の資産価値の下落が大きくなる可能性が高いのです。

 築古アパートのデメリット

修繕が頻繁に必要

築古アパートの投資にはデメリットとして、まずは修繕費用の高額化が挙げられます。

経年劣化による修繕やリフォームが頻繁に必要となり、特に水回りや外壁、屋根の改修には数百万円の投資が必要になることだってあります。

ほかにも修繕がちょこちょこ発生するのが築古です。ぼくの物件でもこの2カ月ほどでシャワーのホースから水が漏れている、網戸がガタついているといった指摘が相次ぎました。

融資を受けにくい

次に、融資の難しさが挙げられます。多くの金融機関では築古物件への融資条件が厳しくなります。

例えば、頭金の割合を高く設定したり、融資期間を短く制限したりといったことです。

さらに、法定耐用年数を超えた物件には融資自体を行わない銀行もあります。このような状況では、自己資金での購入を余儀なくされる可能性も考慮しなければなりません。あるいは、金利が高くなりますが、ノンバンクなどの代替融資手段を検討する必要が出てくるかもしれません。

入居者がつきにくい

入居者獲得の難しさも築古アパート投資における重要な課題です。築古物件は新築や比較的新しい物件と比べて、多くの点で不利な状況に置かれがちです。

外観が古臭く、一見して敬遠されることも少なくありません。設備の老朽化や機能の陳腐化も大きな問題です。室内では壁紙の変色や床の傷み、汚れが目立ち、入居希望者に悪印象を与えることもあります。

断熱性能の低さやセキュリティの不安も入居の障害となるでしょう。これらの理由から、築古アパートは新しい物件と比べて見劣りし、家賃を下げるか長期間の空室を覚悟しなければならない状況に陥りやすくなります。

デッドクロスの問題もある

デッドクロスのリスクにも注意が必要です。デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回り、資金がショートしてしまう問題です。

詳しい説明は別記事で書きますが、経費にならないのにお金が出ていく元金返済の割合が高まる一方で、経費になるけどお金は出ていかない減価償却が減っていくと発生します。

課税所得が増加し、キャッシュフローが悪化するため、融資を受けて収益不動産を買う場合にはつきまとう問題です。

失敗しない築古アパートを選ぶ基準3つ

築古アパートの購入で失敗しないためには、物件選びが重要です。この章では、特に押さえておきたい3つの基準「立地」「物件状態」「面積」について解説します。

入居付けに困らない立地か

築古アパートを選ぶ際、最も重要なのは立地です。古い物件でも、立地が良ければ十分な需要があります。

まず、駅からの距離。徒歩圏内であれば、通勤・通学に便利で人気が高いです。とはいえ、駅から離れているから即NGとはなりません。

駐車場が確保され、車の出入りがしやすい場所なら、車がある人には問題のない物件となります。実際ぼくの物件は駅からとても歩ける距離じゃないけど何年も満室です。

また、日常生活の利便性も重要です。スーパーマーケット、学校、病院などが徒歩圏内にあるかどうかをチェックします。ファミリー向けの部屋なら小児科が近くにあると親としては助かりますよね。高齢者も近くに病院があると通院の手間が省けます。生活に快適な立地かどうかという目線が長期入居の確保には大切です。

すぐに多額の修繕費がかからない物件状態か

築古アパートを購入する際、物件の状態を十分に確認することは非常に重要です。買ってすぐに外壁塗装が必要になれば、小さなアパートでも100万~200万円ほどは覚悟しないといけません。

ぼく自身もそうですが、投資初期の人にとってこのような大きな出費は、メンタル面でもお財布の面でも大きなダメージとなるでしょう。

「修繕費分を値引きしてもらえばいい」という意見もあります。でも、金融機関から融資を受ける際はあくまで売買金額が融資の基本になるので、値下げされても手元資金はさほど変わらないこともあるんですよね。

そのため、購入前に修繕履歴をしっかり確認することが大切です。でも仲介業者に問い合わせてもはっきりしないケースも意外とあります。結局のところ、自分の目で見て、気になるところは知り合いや経験者に相談するのが確実です。つまりは仲間づくりが大切です。

需要に合った面積が確保されているか

築古アパートを選ぶ際、築年数や立地の良し悪し以前に、まず物件を探す人にとって必要な面積が確保されているかを確認することが重要です。どんなに条件が良くても、狭すぎる物件では入居者のニーズを満たせず、そもそも選択肢から外れてしまいます。

参考として、国土交通省の「住生活基本計画(全国計画)」では、「健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積」の目安が示されています。

・単身者:25平方メートル
・2人以上世帯:10平方メートル × 世帯人数 + 10平方メートル

例えば、購入を検討しているエリアがファミリー需要が多いと考えられる場合、3人家族なら40平方メートル(=10平方メートル × 3人+10平方メートル)が最低限必要とされる面積です。

十分な広さがあれば、築古物件でも競争力を持つことができます。また、将来のリノベーションの可能性も考慮に入れ、柔軟な間取り変更が可能な物件を選ぶことも賢明です。

築古アパートで考えられる出口戦略4つ

築古アパート投資の成功には、適切な出口戦略が不可欠です。ここでは、築古アパートで考えられる4つの出口戦略を紹介します。

1. 売却してキャピタルゲインを得る

出口戦略といったら一般的には売却です。築古アパート投資においても最も基本的な出口戦略となります。

売却益(キャピタルゲイン)を得て、次の投資に回しながら規模を拡大していく方法は、多くの投資家が採用する王道の手法です。

具体的な売却方法をいくつか紹介しましょう。

建物付きのまま売る

まずは建物付きのまま売却する方法です。例えば、10年前に3,000万円で購入した築25年のアパートが、エリアの再開発により価値が上昇し、4,000万円で売却できるケースだと万々歳です。

運営以外でさほど手間がかからず、市場の上昇トレンドを活かせるのがメリットです。ただし、2008年のリーマンショックのような予期せぬ市場の下落に遭遇するリスクもあります。

そもそも市場の行方を読むのは簡単ではありませんね。いま思えば「そりゃ上がるよね」という結果に見えますが、2013年当時、日銀の大規模金融緩和スタートからここまで、これほどあらゆる資産価格の上昇を予想できた人はどれほどいたのでしょうか。先を正確に見通すことは難しいですね。

更地にして売る

次に考えられるのは、古くなった建物を取り壊して更地にして売る方法です。

例えば築40年でほぼ全空となった木造アパートを解体して売却すれば、スムーズかつ建物付きより高く売れる可能性があるでしょう。

この方法は、土地値が高い都心部などで有効です。ただし、解体費用がかかるうえ、入居者が残っていれば立ち退き交渉に時間を要し、かつ立退料も必要になるのが一般的です。

バリューアップして売る

全空に近い状態などのアパートを取得して再生して売却する方法も有効です。

例えば10戸中2戸しか入っていない築35年のアパートを2,000万円で購入し、500万円かけてリノベーションした後、満室稼働を実現。その後3,000万円以上で売却するーといった手法が成功すると夢がありますねえ。

もちろん書くのは簡単ですが、再生するには入居者がつくと判断できる目利きやリノベーションのノウハウが重要です。自身の経験とノウハウを活かせる半面、市場のニーズを読み違えるとリスクも大きくなります。

どの方法を選択するかは、物件の状態、立地、市場動向、そして投資家自身の資金力と経験によって変わってきます。

重要なのは、購入時点から将来の売却を見据えて戦略を立てることです。例えば、購入時に「10年後に売却」と決めていれば、9年目から市場動向を注視し、8年目から必要な修繕を行わないなど、計画的な運用が可能になります。

2. 長期保有でインカムゲインを得続ける

正確には「出口」とはいえませんが、長期保有すると決めて継続所有し、家賃収入(インカムゲイン)を得続けるのも選択肢に入ります。安定した収入が長期にわたって得られること、そして時間とともに土地の資産価値が上がる可能性もあります。

ただし、建物の老朽化に伴う修繕費用の増加や、周辺環境の変化による家賃収入の減少リスクがあります。築古物件の運営ノウハウを蓄積し、磨く意識が大切になるでしょう。将来さらに発展する地域かどうか、行政の開発方針のチェックなど地域の発展性を見極めることも重要です。

理想的なのは、ずっと安定した家賃収入が得られる物件を購入すること。そのような優良物件であれば、将来的に売却する際にも高値で売れる可能性が高くなります。つまり、長期保有と将来の売却の両方の選択肢を持つことができますよね。

3. 建て替えて家賃収入を引き上げる

古くなったアパートを取り壊し、建て替えて新たな収益物件を造ることも出口の一つです。これにより、家賃の単価は大幅な上昇が期待できるでしょう。入居率が悪化しているなら改善する可能性もあります。物件の競争力が劇的に上がり、長期的な収益性が高まるうえ、耐震性能が向上し、安全性も高まります。

一方、デメリットとしては、多額の建築費用が必要となること。木造アパートの建築が坪当たり77万円超といわれる時代です。十分な融資を受けられる資産背景も必要でしょう。

建て替えを検討する際は、地域の人口見通しも重要なチェックポイントです。人口が減少傾向にある地域では、将来的な需要減少のリスクがあります。

4. 相続対策に活用する

出口戦略とは少し違いますが、築古アパートを相続対策として購入することも考えられます。

不動産は現金や株式に比べて評価額が低くなりやすく、相続税の負担を軽減できる可能性があるからです。

賃貸収入が見込める物件であれば、相続後も継続的な収入源となり、相続人の生活を支える助けとなるでしょう。

まとめ:出口戦略の選び方は人それぞれ

築古アパート投資における出口戦略の選び方は、実に多様です。最適な戦略は、物件の特性だけでなく、投資家自身の年齢、資金力、そしてライフプランの考え方によっても大きく変わります。

今後土地価格が上がると考えれば運用してインカムゲインを得つつ、売却益の上昇を期待する。保有している土地が下落トレンドに入ったと思うならすぐに売るのも選択肢でしょう。安くリフォームを発注できるツテがあるなら保有を続けてインカムゲインを得続けるのもいいですね。

重要なのは、物件の特性と市場動向を踏まえつつ、中長期の視点を持つことだと考えます。状況の変化に応じて、柔軟に戦略を見直す姿勢も必要でしょう。

ぼくは個人で賃貸経営の経験と実績を積むことを重視したいと考えています。修繕や入居者対応のレベルを上げたいです。

ススム

なのでいろいろ起こるであろうトラブルに対処しつつ、築古物件をできるだけ長く運営したいと考えています。

減価償却が終わり、デッドクロスが気になる前には売却を考えたり、返済額の調整や別の築古物件の取得による相殺を検討したりするつもりです。

もちろん、大規模修繕や経済環境、将来的な状況変化に応じて、適宜見直していきますけどね。

出口戦略に正解はありません。自分の状況と目標に合わせて、最適な戦略を選択し、必要に応じて軌道修正します。

こんな感じで自分のアパート経営で学んだことなどを随時発信していきます。良かったら不動産投資を始めるときにサラリーマンが不安に感じることと対処法をまとめた電子書籍も書きましたので、参考にしてください。

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