近年の不動産価格高騰を受け、「いつになったら自分に物件購入のチャンスが回ってくるのだろう」と嘆く投資初心者は多いのではないでしょうか。
もちろん僕もその一人です ^_^;
ポータルサイトで中古アパートを検索していると、いいなと思った物件には表面利回り6%とか7%といった高値がついています。
たとえ融資が通ったとしても、家賃収入に対する元利金返済の割合である返済比率が6~7割となってしまい、とても買おうと思えません。
修繕や金利上昇などを考えると、返済比率は5割程度に抑えたいところですね
いったいこの状況はいつまで続くのか分かりません。そんな中で注目すべきは、プロ投資家たちの動向です。最近の調査で転調の兆しが見て取れました。タイミングをしっかり見ておくことで将来の資産形成に大きな影響を与えるかもしれません。
この記事では、プロ投資家の動向を三井住友トラスト基礎研究所の「不動産投資に関する調査2023年」で確認するとともに、では僕らのような個人はどう動くべきなのかを検討します。
僕も同じ状況ではありますが、なかなか買えない、どうしたものかと思っている方の参考になりますのでぜひ最後まで読んでください。
プロ投資家の投資姿勢の変化
プロ投資家と呼ばれる年金基金や機関投資家の姿勢は、いつの時代も資産運用の専門家として注目されてきました。その投資動向は、規模が小さい個人投資家にとっても指標の一つになります。
そして、三井住友トラスト基礎研究所の「不動産投資に関する調査2023年」によると、積極姿勢が明確に減少しています。
具体的には、今後の不動産投資方針について機関投資家の回答を見ると、「不動産投資を実行する/増やす予定」との回答は32%となり、過去5年で最も多かった2021年の67%から大きく減少したのです。
一方で「現状の不動産投資額を維持する予定」は50%と、2021年の25%から大きく伸びています。
出典:三井トラスト基礎研究所「不動産投資に関する調査 2023年」
「投資を実行する/増やす予定」と「投資検討すべき投資対象の一つ」という積極姿勢の回答は、2012年の調査開始以来最少だといいます。慎重姿勢に転じた理由について明確に分かるものはありませんが、近年の不動産価格高騰や金利上昇の流れなどが背景にあるのは間違いなさそうですね。
国内投資への回帰傾向
プロ投資家たちの投資姿勢に変化が見られる中で、少し注目しておきたい動きがあります。
それは、国内不動産への回帰傾向です。
年金基金を対象にした調査結果を見ると、「今後、投資を開始あるいは増加させたい不動産投資」として、「国内不動産を対象とした私募ファンド」の割合がクローズドエンド型とオープンエンド型を合わせて43%に上りました。
クローズドエンド型とは投資家の請求で払い戻しができないタイプ、オープンエンド型は払い戻し可能なタイプです。
下のグラフの通り、2019年の調査では「海外不動産を投資対象とした私募ファンド」の割合がクローズドエンド型とオープンエンド型を合わせて29%だったのに対し、「国内不動産を対象にした私募ファンド」が27%でした。
海外から国内に目が移っていることが分かります。
出典:三井トラスト基礎研究所「不動産投資に関する調査 2023年」
一方、機関投資家の調査結果では、国内から海外へという動きも読み取れましたので、現時点では断定できません。
ですが、日本の不動産、特にマンション相場は海外主要都市に比べて明らかに割安です。一般財団法人日本不動産研究所の「国際不動産価格賃料指数(2023年10月現在)」によると、下のグラフのように東京のマンションですら、欧米やアジアの主要都市に比べて大きく下回っています。
東京都港区元麻布にあるハイエンドクラスの分譲単価を100.0とした場合の国際比較
出典:一般財団法人日本不動産研究所の「国際不動産価格賃料指数(2023年10月現在)」
不動産市場への注目が、インフレ傾向がより強い海外から日本に移っている点は踏まえておく必要があるでしょう。円安や海外不動産市場の不透明感から、リスク回避のため割安とされる地域に資金シフトを強める可能性があります。
この動きが加速すると、国内不動産、特に都心部はまだ上昇する可能性もありますね。
個人は「ゆがみ」を捉えることが重要
機関投資家などが不動産投資に慎重になる一方で、国内不動産にも注目が集まっている。これは国内の不動産価格への影響という意味では、下がる要素と上がる要素があると言えます。
どうしたらいいかよく分かりませんね
確かに今アパートを買おうとしても、ポータルサイトには築古なのに利回り10%にも届かない物件があふれていて、とても買えそうにないと考えることが多いです。
そのような中、資産家ではない僕ら個人投資家ができることは、やっぱり種銭をコツコツ貯めつつ、地道に物件検索をしていくことでしょう。
良い情報はあっという間に消えますが、手が届いて需要もそこそこ狙えるなど「これは欲しい」と思える物件はいずれ出てくるはずです。
相続案件だとか、資産を入れ替えたいとか、いろいろな理由で現オーナーが売りたいと考えるタイミングがあるようです。
僕の最初のアパートも、遠隔地に住んでいる3兄弟が共有していて管理に困っていたものでした。
「市場のゆがみ」はどこかに現れるものです。個人投資家はこうしたチャンスを逃さないよう、日々物件を探したり、不動産会社や金融機関とつながりを保ったりしておく必要がありますね。
僕も会社員としての仕事やライティング案件をコツコツこなしながら、市場のゆがみに出会えるように物件探しを続けます。
地道に現地に行ったり、不動産会社を訪問したりして地域事情や入居者ニーズ、管理状況など、不動産の「現場力」を磨き続けるのが大切ですね。
精神論ではありますが、時流に乗り遅れまいと焦り過ぎず、じっくりと勉強を重ね、自らの目で物件を見極められる能力を身につけたいです。こんな風に自分に言い聞かせています。
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