文章力を上げたいと本気で考えている
ライティングでお金を稼ぎたい!
ぴったりの「教科書」がありました
TwitterやブログやFacebook…ネットやSNSで発信するのが当たり前になり、いまや「1億総ライター」とも言える時代になりました。
ネットで文章を書いて個人で稼げるようになって脱サラした、なんていう人もたくさん出ていますよね。スゴイことです。
自分もチャレンジしたい!
ぼくも含めてたくさんの人が考えているでしょう。
ですが文章術に関する本は無数にあってもライターにとっての「教科書」とまでいわれる本はなかなか見当たりませんでした。
今回紹介する「取材・執筆・推敲」がまさに「ライターの教科書」というコンセプトで執筆された書籍。
「ライターの学校」をつくるとしたらほしい教科書が出発点となっています。現役のライターや編集者だけでなく「書くこと」で自分と世界を変えようとする人たちに向けた。そんな書籍ですよ。
肝心の書いている人はどんな人かというと、古賀史健さんという超有名ライター。ブロガーをはじめ多くのインフルエンサーたちがライティングをする際におススメする『20歳の自分に受けさせたい文章講義』(星海社新書)を書いた方です。
ブログやTwitterなど個人によるWebライティングで必要なのは、書く力だけではありません。
どういう立ち位置の人が、どういうテーマの文章を、どう書いていくか。本来「編集者」が考える分野の能力まで求められますよね。本書は「編集」の考え方まで踏み込んだ教科書。ひとりでやりきる力を身に着けたいならぜひ読みたい一冊です。
書籍名 取材・執筆・推敲 書く人の教科書
著者 古賀史健
発行元 ダイヤモンド社
発行日 2021年4月6日
ページ数 437ページ
著者の古賀史健さんはライター育成に力を注ぐ人
「取材・執筆・推敲」の著者、古賀史健さんは、1973年福岡県生まれのライターです。
九州産業大学芸術学部を卒業してからメガネ店や出版社勤務を経て1998年にライターとして独立しました。
著書にはベストセラーとなった『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(岸見一郎共著)のほか、Webライティングに関心がある人にもよくおすすめされている『20歳の自分に受けさせたい文章講義』などがあります。
編著書の累計部数は1100万部超。ビジネス書ライターの地位向上に貢献したとして、2014年に「ビジネス書大賞・審査員特別賞」を受賞していますよ。
2015年には「書くこと」に特化した株式会社バトンズを設立。ライター育成をライフワークにされています。
「取材・執筆・推敲」の概要
本書はそのタイトル通りに、大きく分けて「取材」「執筆」「推敲」の3部構成になっています。
古賀さんが考えるライターとは、書く人(ライター)である前に「コンテンツをつくる人(クリエイター)」です。
そしてライターからコンテンツをつくる人に変われるカギが「編集」だというスタンスが基本になっています。
自分にしか書けず、読者に共感され、論旨がしっかりしている文章を書くのがプロのライターです。古賀さんはそれらを「情報の希少性」「課題の鏡面性」「構造の頑強性」と表現します。
Webライターはこの3つに加え、「誰が」「何を」「どう語るか」を考える必要があるといいます。雑誌などで編集者が担う仕事ですね。
まさにブログやTwitterで活躍するインフルエンサーさんたちがやっていることです。魅力的なコンテンツをつくるには自分をブランディングしないといけないんですね。
本書にはそうした「取材・執筆・推敲」の原理原則が詰めこまれ、ご本人が「生涯誇りにできる本になった」と自信をもって世にだしたものです。
- 取材をするときの心構え
- 質問力のつけ方
- 起承転結の考え方
- 「絵」や「シーン」をイメージすると文章構成が考えやすくなること
- 文章のリズムの整え方
- 上手な比喩の使い方
- 文章の「見た目」の重要性
- 推敲するときの視点の変え方
以上は読みながらマーカーを引いた部分の要約です。ほんの一部です。20年近く文章を書いてお給料をいただいてきましたが、参考になったことが山ほどありました。
このブログでは「PASONAの法則」やセールスコピーなど、文章で伝えたいことを表現する具体的な手法を書いた本も紹介しています。今回の「取材・執筆・推敲」はその大前提が学べる一冊です。
「取材・執筆・推敲」のポイント3つ
「取材・執筆・推敲」では、書籍名の通りにライターが素材を集め、文章を書き、何度も見直して完成させていくための考え方や方法が丁寧に紹介されています。
ここでは文章を書いて20年近くお給料をいただいてきたぼくが特に共感したポイントを、3つだけ紹介します。
伝わる文章はリズムが心地いい
たくさんの人に好かれる文章は、実際に声に出しても心の中で音読してもスラスラ読めます。それはリズムがいいからです。
文章を書いていてリズムを良くするために気をつけることは以下のようなものがあります。
- 文意を変えないようにほどよく読点を入れる
- 「です」「ます」など同じ語尾を続けない
- たまに体言止めを使う
- 「しかし」「ところが」など逆説の接続詞で文章の流れを転換する
- 「つまり」「要するに」を使って分かりやすい説明を補う
読点はなくても文章を読むことはできますが、ないとどこで一呼吸をいれていいか読者任せになってしまいます。
彼女は美しく咲いた花を手にしていた
上の文章を読んだとき、多くの人は花が美しいのだと読みとるかもしれませんが、読点の打つ場所によっては、花を持つ彼女か美しくなるかもしれません。
彼女は、美しく咲いた花を手にしていた
彼女は美しく、咲いた花を手にしていた
読点を打たずに読者に呼吸の場所をゆだねると、伝えたいことがずれるかもしれません
このほか、文章の流れが単調にならないよう、同じ語尾を続けない、体言止めを使う、接続詞で文章の流れを変えることも意識してみるといいですね。
テキストの表現力を引き上げるレトリック
著者の古賀さんは文章について「ひどく不自由な表現ツール」だといいます。
発信者の声色や表情や身振り手振りが伝わらないからですね。
なので文章では、読者の想像力をかきたてる比喩が重要だと訴えます。
比喩には、「白鳥のような美しさ」のといった具合に「~のような」と表現する直喩と、「白鳥の美しさ」とズバリ表す隠喩がありますね。これらを使いこなすことで、文章がより具体的なイメージをもって伝わります。
でも比喩なんて普段の生活で使わないので、どう使うのかよくわからない
こんな声が聞こえそうです。ぼくもまったくそうです。でも本書ではとても分かりやすく比喩の考え方が説明されています。
ものすごく分かりやすいコツのひとつとしては、「かけ離れたもの」に例えるという考え方があります。
例えば「白鳥のような美しさ」だと当たり前。美しいとはやや遠いもの、例えば「雑草のような美しさ」と書かれていればどうでしょう。
「たくましく生きる姿が美しい雑草」というイメージを文脈でにじみ出せば、頭に残る表現になりえますね。
比喩は奥深いだけにうまく使えたら一気に表現力をあげられそうです。
推敲のコツは「距離」
文章は書いたら終わりではありません。むしろ書いた後から始まるとも言えるかもしれないです。ぼくはそれくらい推敲の作業は大切だと思っています。
紙面が出来上がるまでに何人ものチェックを通ったはずの新聞記事でも、翌日に訂正記事が載っていることがよくありますよね。
書いた本人も何度も読むし、直したデスクも何度も読みます。新聞社では校閲記者という専門家も何度も読み返しているのです。
それでも人間なのでミスは見逃されます。なのでミスを少しでも減らすために正しい推敲の仕方が重要です。
「取材・執筆・推敲」の中で著者の古賀さんも推敲に章を使ってその方法や考え方を詳しく解説しています。
コツとして分かりやすいところでいえば、時間を置いてから見直すことですね。1日置くだけで新鮮な見方ができますし、1週間あけたらそもそも細かいことを覚えていなくてもっと間違いや構成の不備を見つけやすいですね。
古賀さんはこのほか文字のフォントを変えてみることなどをおすすめしています。ぼくがいつもやるのは紙にプリントアウトして読むこと。はっきりいってプリントアウトして見直す以上に良い方法は思い付きません(笑)
赤ペンをもって線を引きながら文章をみなおす。デジタル化がどんなに進んでも最強の方法でしょう。音読も欠かせません。
人間の脳には思い込みが発生します。たとえば「デジタル化」が「デジルタ化」になっていたとしても、文章の流れが「デジタル化」が当然使われる流れだったら見逃してしまう人が多いです。新聞で訂正記事がなくならないのもこのためでしょう。
古賀さんは縦書きを横書きにして見た目を変えるとか、尊敬する人が読んだらどう思うだろうかとか、いろんな見直す方法をお持ちです。妥協しないからこそプロなんですね。
まとめ:プロを目指すならぜひ一読を
「取材・執筆・推敲」の著者の古賀史健さんといえば、これまでたくさんの文章術に関する本を書かれてきた文章のプロです。
ですが本書は一般的な文章術の本ではありません。どちらかといえば、「ライターとはどうあるべきか」という問いに答える一冊だと感じました。
ライターの学校をつくるとしたらこういう教科書がいるだろう。そう考えながら書かれた一冊ですのでそりゃそうですよね。
この「教科書」でライターとしての思考を学ぶと文章との向き合い方が変えられます。
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