金利上昇が怖いよ
不動産投資なんてやって大丈夫?
日銀がマイナス金利を解除してから、ついに日本でも金利上昇が始まりました。
2023年と2024年に借金して中古アパートを買ったばかりの私にも当然不安はあります。
でも実はシミュレーションしてみると、金利上昇自体はそれほど怖くないと気が付きました。
怖いのは金利上昇に対処できない資金不足、そして金利上昇を恐れて一歩を踏み出せないリスクだと考えます。
この記事では元銀行員の私が、金利上昇の影響を具体的に数字で示しながら、対策を考えます。
最強の方法は手元資金を充実させておくことです。
私は40代後半で会社員人生もそんなに残っていません。だったら何もしないより経験を買っておこうという気持ちでアパート購入に踏み切りました。大切なのはただ恐れるよりシミュレーションをして影響を確かめてみることです。
銀行員時代に不動産鑑定士試験に合格し、十数件の投資物件を運用した不動産ライターの考えです。よかったらお目通しください!
40代後半から不安いっぱいではじめた不動産投資についてまとめたKindle出版もしています。よかったら参考にしてください!
金利上昇が怖いならシミュレーションしてみよう
不動産投資の不安を払拭する第一歩は、具体的なシミュレーションです。特に金利上昇が与える影響を数字で把握することで、的確な判断が可能になります。
金利動向と将来予測
2024年3月、日銀は8年続いたマイナス金利政策をついに解除しました。8月1日からは、それまで0~0.1%だった政策金利が0.25%に引き上げられ、金融機関も続々と金利を引き上げています。
物価高が進行している現状を考えると、今後もある程度の金利上昇は避けられません。
一方で、日銀には金利を大幅に引き上げられない事情もあります。
野村総合研究所の2024年1月の試算では、政策金利が0.28%を超えると日銀は逆ザヤに陥り、0.58%で経常赤字に転落するとされました。日銀の信頼失墜は円の価値下落にもつながります。
金利上昇はゆっくり慎重に進められると予想されています。
金利上昇が返済額に与える影響を試算
金利上昇の影響を、具体的な数字で見てみましょう。3,600万円の中古アパートを購入し、3,000万円を15年、金利2%(5年固定)で借りたケースを想定します。
この場合、金融広報中央委員会の「知るぽると」でシミュレーションを行うと、毎月の返済額は約19万3千円となります。
表面利回り11%の物件なら、家賃収入は年間396万円、月々33万円です。ここから諸経費として管理委託料や固定資産税、修繕費などで家賃収入の2割(月々6.6万円)を差し引くと、借入金返済後の手残りは約7万円(=33万円ー19.3万円ー6.6万円)となります。
5年後に金利が4%に上昇したとすると、どうなるでしょうか。
月々の返済額は約21万2千円と、2万円近く増加します。その結果、もともと7万円しかなかった手残りが5万円に減少してしまうんです。
年間にすると24万円の減少です。このシミュレーションから、金利上昇が収支に大きな影響を与えることがわかります。
利回りが下がり、手取りが減少する怖さ
アパート経営では、定期的な支出以外にもさまざまな出費を考慮しなくてはなりません。大規模修繕や予期せぬ設備更新、入退去に伴うリフォーム、さらには新たな入居者を募集するための広告費など、突発的な出費は必ずあります。
金利上昇によって手取りが減少すると、これらの費用に備えた貯蓄が難しくなります。
例えば、月々の手残りが7万円から5万円に減少すると、年間24万円もの貯蓄機会が失われるのです。
この状況が続けば、将来的な大型出費への対応が困難になり、経営の安定性が脅かされるでしょう。
金利上昇の怖さは、この長期的な資金繰りへの影響にあります。
金利上昇対策の一番手、それは手元資金の充実
金利上昇への最強の対策は、手元資金の充実にあります。十分な資金を確保しておくことで、金利変動のリスクを大幅に軽減できるのです。
金利が上がるなら繰り上げ返済すればいい
金利上昇時の強力な対策として、手元資金を活用した繰り上げ返済があります。これにより、月々の返済負担を大幅に軽減できるのです。
先ほどの例を用いて具体的に見てみましょう。金利が2%から4%に上昇する段階で200万円の繰り上げ返済を行うと、月々の返済額は金利上昇前とほぼ同じ水準に抑えることができます。つまり、手元資金200万円で、金利上昇による月々2万円の負担増をほぼ相殺できるのです。
この方法により、金利上昇後も安定した収支を維持できます。
手元資金を確保しておくことの重要性が、ここからも明確に見て取れます。
金利上昇に備えた資金準備は、アパート経営の安定性を大きく左右する重要な要素なんです。
でも自己資金が減るのはやっぱりキツイ
繰り上げ返済すれば返済負担は抑えられます。でも、なんか釈然としませんよね。
まずつらいのは、次の投資に向けた自己資金が減少してしまうことです。
不動産投資は複数の物件を所有することでリスク分散を図れるのが良いところ。自己資金が減って次の物件購入のチャンスを逃すのはやっぱりイタイですね。
また、大規模修繕や予期せぬ設備更新への備えも削られてしまいます。アパート経営では、こうした突発的な出費に対応できる資金を常に確保しておくことが重要です。
結局のところ、金利上昇は避けたいのが当たり前です。
だから今は固定金利がおすすめされているんですね。
変動金利でお金を借りている場合、金利上昇時には繰り上げ返済がもっとも有効なのが事実です。そしてそのためにはなるべく多くの資金を手元に置いておくのが無難ですね。
まとめ:資金と経験を確保する重要性
不動産投資を安全に進めるには、十分な手元資金を確保することが極めて重要です。
買う時には諸経費や頭金として最低でも物件価格の10~20%は必要とされますが、運営中の目安はあまり聞きません。
感覚的には物件価格の10~20%程度の資金を用意しておくのがいいかなと思います。
外壁や屋根の補修が必要になったら100万円、200万円、300万円…と必要になりますからね。
以前のように融資が出やすいご時世でもないので、大規模修繕時の資金枯渇には気をつけたいところです。
物件価格は高止まりしており、金利上昇も避けられない状況下。今から不動産投資をするには遅すぎるとも思います。
でも、もうすぐ50歳を迎える私は、このまま会社員メインの人生でいいのかと疑問に感じていました。何も行動を起こさないことの方がリスクだと感じたんです。
新しいことを始めるにはリスクがつきもの。適切な資金準備があれば、たとえ市場環境が理想的でなくても、その経験が将来の大きな資産となると考えています。
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