ブログを始めたけど記事の書き方がよくわからない
文章でモノを売ったことなんてない。自分にもできるのか……
セールスライティングを極めればどんなものでも売れるんだと思えちゃいます
セールスライティングと聞くと、営業感を前面にゴリゴリとモノやサービスを売りつけてくる文章というイメージがありますよね。
ぼくは本業の報道機関で4,000記事くらいの文章を書いてきましたが、セールスとは縁がなく、何かを売るための文章を本業で書いたことはありません。
有名セールスコピーライターの大橋一慶さんは「どんな商品でも、伝え方次第でもっと売ることができます」と断言します。
興味を持ったぼくが大橋さんの「セールスコピー大全」を読んで感じたのは、ある商品を欲しがっている人や、他の商品と迷っている人の背中を押してあげることがセールスライティングだということです。
特にほしいと思っていなくてもその商品を買うことで得られる「いい未来」を示してあげれば、実際の購入につながります。だれかのためになる文章術がセールスライティングなのです。
セールスコピー大全は、セールスライティングだけではなく、企画書やレポートなどの一般的な文章や、人とのコミュニケーションなどたくさんの場面で応用が利く考え方が紹介されています。心を動かす文章を書きたいみんなが読むべき一冊です。
以前紹介した「売れるコピーライティング単語帖」と一緒に手元に置きたい一冊でした。
書籍名 セールスコピー大全 見て、読んで、買ってもらうコトバの作り方
著者 大橋一慶
発行元 ぱる出版
発行日 2021年1月12日
ページ数 384ページ
著者の大橋さんはセールスコピーライティングの第一人者
「セールスコピー大全」の著者の大橋一慶さんは、2002年に入社したネット広告企業で実績を上げて独立。セールスコピーライターとして、1,000件以上の広告に携わってきました。
「売りにくい商品を売る」のを得意とし、学習塾やリフォームといった競合が激しい分野にも積極的に取り組まれています。
近年は自身の文章技術を普及させる活動にも注力。2020年4月にオンラインサロン「ポチらせる文章術実践ラボ」を立ちあげ、800人以上が学び、成果を上げているそうです。
「残りわずか!」とか「買わないと後悔!」といった感じの表現が頭をよぎり、セールスコピーというとモノを売ろう売ろうという表現でしょと思われがちですが、違います。
大橋さんは、セールスコピーは誇張やあおりなど「ウソにまみれた文章」で売る方法ではないと強調します。セールスコピーとは「商品の良さを、誰よりもわかってくれる人と出会い、求めてもらう伝え方」と定義し、本書でその本質を初心者にも分かりやすく深堀りしてくれていますよ。
「セールスコピー大全」の概要
本書は、全20章で構成されています。
全体を通じて強調されているのは、セールスコピーでもっとも大切な「訴求」の重要性です。
訴求とは「売れる提案」のこと。つまり、ある商品を買いたいと思っていたり、他の商品と迷っている人にどのような提案をすれば買ってもらえるのか。商品を知らない人には、どのように説明すればその商品を知って買ってもらえるのか。これらターゲットに応じた訴求方法を具体的に学ぶことができます。
「いらない」を「欲しい」に変換する魔法のような技術がセールスコピーですね。でも誇張やウソをまぜてはいけません。ウソにならずに人を動かす微妙な技術がとても分かりやすく解説されています。
人の心を動かす提案を考えて魅力的に語る。買いたい人の満足度を上げながら、売り手も利益を上げられる。
夢を感じますね
本書では訴求の方法について理解した上で、お客さんをひきつける「キャッチコピー」やそれに続く「リードコピー」「ボディコピー」「オファー」などを学んでいく流れで進みます。
2020年以降の新型コロナ禍で非対面・非接触への意識がポジティブになりました。このような時代こそ、文章で人の心を動かすセールスコピーライティングの考え方が大事になってくるのは間違いありません。
大橋さんからすれば、セールスコピーライティングはもうけるための技術ではなく、「生き残るための技術」です。
「セールスコピー大全」のポイント3つ
ここからは「セールスコピー大全」のポイントを3つだけかいつまんで説明しておきます。
1 売り込むべきは商品の特徴ではなく「ベネフィット」
ブランドもののバッグや時計、高級車などを人はなぜ欲しがるのでしょうか。バッグならモノを入れたいから、腕時計なら時間を知りたいから、車は移動に必要だから。違いますよね。ただ機能を求めるならブランドものや高級品である必要はありません。
ブランド品や高級品が欲しいのは、所有することでおしゃれに見られたい、格好よく思われたいといった欲求があるからですよね。
商品をPRする場合には、その機能やメリットでなく、ベネフィットがもっとも重要なんです。ベネフィットとはそのまま日本語にすると利益という意味になります。利益はイメージしにくいですよね。そこで大橋さんはベネフィットを「嬉しい未来」のことだと定義しています。
自分が売りたい商品やサービスをお客さんが買うことでどんな「嬉しい未来」が訪れるのか。消費者は商品そのものではなく、その商品を買うことで訪れる「嬉しい未来」をイメージできるからこそお金を払うのです。これを伝える技術がセールスコピーなんですね。
2 ターゲット別に訴求方法を考える
ベネフィットを発掘するには、文章を読んでくれる対象を絞り込む必要があります。
大橋さんはターゲットには次の3種類あると指摘します。
・いますぐ欲しい人(購入期待大・競合は比較的多い)
・気になっている人(購入期待中・競合は普通)
・ベネフィットに関心あってもその商品を知らない人(購入期待小・競合は比較的少ない)
これらターゲットごとに訴求(=売り込む提案)のやり方が違うのです。
商品がすぐに欲しい人は、期間限定の割引や数量限定といったアピールで心が動くかもしれません。その商品が気になっている人にも、類似品との比較をまとめてあげると割引がある方に心が動くかもしれません。
商品そのものを知らない人にいきなり商品名と割引をアピールしても、見向きもされないでしょう。頭の上に?マークが見えそうです。こうした人に買ってもらうには、潜在的な悩みを発掘し、自分が売りたい商品がその悩みを解決できることをじっくり説明する必要があります。
本書ではターゲットごとの詳細なアピール方法をたとえ話をふんだんに盛り込みながら紹介されています。
自分が商品を買ったときのことを振り返りると「たしかに」「なるほど」とうなずきながら読めます
3 キャッチコピーを入口に
著者の大橋さんは、「セールスコピーは訴求作りが8割」だといいます。売れる提案をどのようにするのかに何より時間をかけるのです。
ですがいくら完璧な訴求方法を思いついても、表現で伝わらなければ効果は弱まります。
訴求に続くコピー作りの段階でもっとも重要なのは「キャッチコピー」。キャッチコピーとは訴求(=売れる提案)を盛り込んだ短い文のこと。ブログやYouTubeのタイトル、新聞の見出しなんかにあたる部分ですね。
みんなこの一番目に付くキャッチコピーを見て本文を読んだり動画を見るか瞬間的に判断します。本文への入口です。
書き出しが何より超重要ですよね
毎日30ページくらいに文字がびっしり詰まった新聞は、すべての記事を読もうとしたら朝の時間がなくなります。ぼくは仕事上全国紙など5紙を読んでいるので、とてもじゃないけど時間が足りません。
新聞の見出しはニュースバリューに応じて文字の大きさが決められます。まず10文字前後の見出しを読んで、興味をもったら前文を読んで、さらに興味をもったら本文を読んでいく。
記事は見出しが何より重要です。なので新聞社には見出しをつける専門記者がいるほどです。
本書では、キャッチコピーをつくる4ステップと、キャッチコピーが魅力的になる13の表現法がわかりやすく紹介されています。ベネフィットをいかに効果的に伝えるかを学べますよ。
まとめ:セールスコピーを学んで普通の文でも達人に
今回の記事ではセールスコピーライターの大橋一慶さんが書いた「セールスコピー大全」でセールスコピーライティングについて見てきました。
商品を買ってもらいたいと思ったら、お客さんがその商品を手にすることで得られる効果と、その効果によるベネフィット(=嬉しい未来)が何なのかを把握したり、発掘したりするのが出発点です。そのためには魅力的な商品を作ったり、見つけたりすることも必要です。
「欲しい人へ欲しいものを売る方法」「ウソにまみれた文章で売る方法では、ありません」。大橋さんはセールスコピーライティングについてこう言います。
商品やサービスを通じてみんながwinwinの関係を築く。文章にはそんな力があることを改めて学びました。
セールスコピーだけではありません。人に何かを伝える目的はあらゆる文章の共通点。人の心を動かすことができれば、企画書や作文、レポートなどあらゆる面で他者より優位にたてますね。
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