「えぅ、今さら不動産投資?」「リスク高いんじゃないの?」
不動産投資をはじめたいけど、こんな意見を聞いたり、自分でも思ったりして不安になっていませんか。
物件価格は高く、これから金利は上がるしかない。人口はどんどん減って賃貸物件の需要も減る一方……。
不安ばかりで「不動産は手を出さないでおこう」なんて考えても仕方のない状況です。
実は私も一緒です。
それなのに、私はこの1年でアパートを買っちゃいました。しかも2棟。
この記事では、私が感じた不安や迷い、そして決断した理由をお伝えします。高値でも、金利が上がっても、その中を上手に泳ぐ方法はきっとあります。
銀行員時代に不動産鑑定士試験に合格し、十数件の投資物件を運用した不動産ライターの考えです。よかったらお目通しください!
Kindle出版もしていますのでぜひ参考にしてください!
「えっ、今から不動産投資?」と言われる理由4選
不動産投資って、興味はあるけど不安もいっぱい。「今からじゃ遅いんじゃない?」「リスク大きすぎない?」って思いますよね。そんな誰もが感じる不安を確認していきましょう。もしかすると本当に不動産投資はやりたくない、と思っちゃうかもしれませんがお付き合いください。
高値づかみをする不安
2013年にアベノミクスの号令の下で日銀が大規模金融緩和をはじめて以来、不動産価格がぐんぐん上がってきました。都市部なら億単位の分譲マンションもまったく珍しくありません。お金が余っているので当然です。
たとえば国土交通省が毎年発表している地価公示の価格を見てみると一目瞭然です。
リーマンショック前に1平方メートル当たり40万円を切っていた東京圏の平均価格は、2024年には約60万円にまで上がっています。
だれもが知っている投資の基本は「安く買って高く売る」です。
だったら、今不動産を買うのは高値づかみになって損しかしないんじゃないかと思います。
物価の上昇傾向を受けて日銀は2024年3月、大規模金融緩和の象徴だったマイナス金利政策を解除しました。金利が上がれば、お金が借りにくくなるので不動産を買う人が減って価格は下がります。
「不動産価格はもうピーク。これから下がる」なんて声も聞くし、実際私もそう思っています。今買うのは合理的じゃない。一般的に考えれば、そりゃそうです。
金利が上昇していく不安
金利のニュースは気になりますよね。2024年3月、日銀がマイナス金利政策を解除して、7月にはさらに利上げを決定。8月1日からはそれまで0~0.1%としていた政策金利が0.25%になったんです。
不動産投資する人にとってはちょっと怖い話ですよね。
不動産投資は大抵、お金を借りて物件を買います。変動金利で借りてたら、これから利息が増えていくのは間違いないでしょう。
「せっかく頑張って物件見つけたのに、利益が薄くなる……」と心配になるのが普通です。
金利が上がると不動産価格も下がります。「買った時より大幅に安くなって、売る時に損するかも…」なんて考えると、投資する勇気がなくなっちゃいますよね。正直、私もこの不安、ものすごくわかります。
人口が減り続けていく不安
人口も不動産投資に大いに関係があります。直近で気になるのは2025年問題。2020年の国勢調査によると、1947年〜49年生まれの団塊世代は約600万人もいて、日本の5%近くを占めています。
この世代が2025年に全員後期高齢者である75歳以上になるんです。人口はどんどん減っていきます。
2020年に1億2600万人を超えていた人口は、2030年には600万人ほど減り、2045年にはさらに1千万人以上減ると見込まれています。
家に住む人も減るし、不動産を買う層も減るのです。しかも高齢者が増えるということは相続も増えるので、使わない不動産を売りに出す人も増えるでしょう。
需要は減るのに供給は増える……。これって不動産価格への下落圧力にしかならないですよね。
私も含めてこれから不動産投資をしていこうという人にとっては、怖い話です。
投資の「出口」が限られる不安
不動産投資って、最終的にはどうするのかな?と考えると、やっぱり売ることが頭に浮かびます。
でも、正直これがすごく心配です。
人口がどんどん減っていく中で、果たして買ってくれる人がいるのでしょうか。「せっかく頑張って物件を見つけて、管理して、でも売る時になったら誰も買ってくれない……」なんて想像すると、怖くなりますね。
しかも今は物件価格が上がり過ぎて、私のように普通のサラリーマンに手の届きそうなアパートは築30年以上のものばかりです。
例えば売りたいと考えたときに40年超えになっていたとして、果たして買う人がいるのか。大きな心配材料です。
正直とても迷った私が、投資に踏み出した3つの理由
正直、私も不安でいっぱいでした。「本当に大丈夫かな」と、何度も迷いました。
でも、それでも投資を始めたのには理由があります。ここからは、私が不安を乗り越えて一歩を踏み出した理由をお話しします。
年齢を重ねても続けられる仕事を確保するため
みんな結構、将来のことを考えていますよね。私は30代や40代前半まで、仕事に真摯に向き合いましたが、将来のことまでは真剣に考えていませんでした。
ところがふと気がついたら40代後半です。
会社員としてバリバリやれるのも、あと10年ないくらいかな…。人生100年時代。そう考えると何か新しいことをせねば!と焦りだしたわけです。
そこで考えました。「年を重ねてもできることは何だろう」と。いろいろ考えて思いついたのが、ライターの仕事と大家さんでした。
きっかけは、自分の過去の棚卸しでした。
その結果、20代前半で不動産鑑定士と宅建士の勉強をした経験を生かそうと思ったことです。
両方の資格とも実務には携わっていませんが、知識としては根付いているし、転職前に銀行員をしていた経験も生かせると考えました。
大家さんって、年齢関係なく続けられますよね。最初は大変かもしれないけど、慣れてくれば年齢は問題ありません。
ライターの仕事も、パソコンさえあればできます。不動産ライターとして知見と資金を貯めつつ、アパート経営を拡大する。この二つなら、体が動く限り続けられそうだとも考えました。
人間ならではの仕事を覚えたいと考えた
ライターの仕事をしていて痛感してますが、AIの進化ってすごいです。これからはAIとの共存を考えながら働かないとどんどん置いていかれるのは間違いありません。
でも不動産賃貸経営は、AIが発達しても人間にしかできないことがたくさんあります。
そもそも不動産を所有するのは人間です。AIに選定してもらうことはあっても、買ってもらうことはないでしょう。
何より、不動産会社やリフォーム業者さんとのやりとり、入居者さんとのコミュニケーションも、人間同士でないとできないことばかりです。
「この物件、雰囲気いいな」とか「ここを直したらもっと良くなりそう」って感じるのも人間ならでは。
入居者さんの声に耳を傾けて、快適に住んでもらうための工夫を考えるのも人間にしかできません。
人間らしい仕事、人とのつながりを大切にできる仕事。そんな未来につながる一歩として、不動産投資を始めてみようと決心しました。
動かないと変わらないから
正直、ほかにやれることはあるかもしれませんし悩みました。でも、ふと気づいたんです。「いくら考えても、動かなきゃ何も変わらないんじゃない?」と。
そう思って視点を変えました。「入居者さんがちゃんと見つかる物件なら、大丈夫なんじゃないかな」と
家賃収入があれば、よほど利回りの低い物件でない限り、ローンも返せるし、物件の維持もできます。
不動産価格が上がろうが下がろうが、入居者さんが住んでくれていれば安心です。
もちろん物件を見る目は問われますが、前向きな気持ちになれば「よし、やってみよう!」と思えませんか。悩むよりまず一歩踏み出すことが大事だと自分で自分の背中を押しました。
高値でも金利が上がっても成功させる4つの考え方
確かに10年前に比べると、不動産投資の環境は厳しくなっています。でも、あきらめるのはまだ早い!
工夫次第で、今でもうまくやれる方法はあるはずです。
シミュレーションを入念に重ねる
投資を成功させるにはシミュレーションが大切です。高値づかみを避けるためには、しっかりと収支計画を立てなければなりません。
まず、収入の計算。「満室が続くはず」なんて甘い考えは禁物で、私は空室リスクを5~10%くらいと見積もります。安全側に立つのが大事です。
次に支出。これが意外と多いです。管理委託料、固定資産税、修繕費、入退去の際の費用……。それに、将来の大規模修繕も忘れちゃいけません。これらを全部計算して、どれくらい手元に残るのか見積もります。
いちばん大事なのは融資。自分はどれくらい借りられるのか、事前に金融機関に相談するのは必須です。最初のうちは不動産会社や先輩大家さんに紹介してもらうのが手っ取り早いでしょう。
私の場合、こんな風に考えています
家賃収入を100とすると、支出が20~30くらい。残りの70~80の中から、借入金の返済を引いて、20くらい手元に残るならOK。
つまり元利金返済が家賃収入の半分までなら、買ってもいいかなと考えます。
家賃収入に対する元利金返済の割合を「返済比率」といいます。だいたい50%くらいまでが推奨されています。
こういうシミュレーションを何度も繰り返します。面倒くさいですけど、これで安心して投資できるんですよ。
シミュレーションを簡単にできるツールはネットにいろいろありそうですが、書籍「Excelでできる 不動産投資『収益計算』のすべて」(技術評論社、玉川陽介著)におまけでついているのも結構使わせてもらいました。
この書籍、最初は難しく感じるかもしれませんが、経験していけば理解が深まるはずです。
資金に余力を残して投資する
不動産に限りませんが、事業や投資にお金を投じるとき、「有り金を全部つぎ込もう」なんて考えは危険です。
私も融資の返済を楽にするため「できるだけたくさん頭金を入れよう」と思いました。
実際、住宅ローンは3割の頭金を入れ、不動産投資に回せるお金がずいぶん少なくなって大いに悔やんだものです。
現預金が手元にある安心感は大きいです。雨漏りの対応や外壁修繕などで100万円単位のお金が必要になることだってあります。
そして金利が急上昇したとき。手元に資金があれば、一部繰り上げ返済することで返済額を変えずに済む可能性もあります。
例えば、3,000万円を15年、金利2%(5年固定)で借りた場合、毎月の返済額は約19万3千円です。
5年経過後、仮に4%に上がっていたら、残債は約2,100万円なので返済は約21万2千円と2万円上がります。
このとき、200万円を繰り上げ返済すれば返済額は約19万2千円となり、従来とほぼ変わりません。つまり金利の急上昇に対応できるようになるのです。
もちろん手元にお金を残すのは、不動産のためだけではありません。何かあった場合の生活防衛資金も大切です。
月収の6カ月分必要とも1年分必要ともいわれます。私は家族1人につき100万円は手を付けずに残しておきたいと思っています。
不動産投資は長い目で見るものです。途中で資金が底をついて投げ出すなんて、もったいないですよね。だから、余裕を持った投資が大切なんです。
入居者から選ばれる物件を選ぶ
人口が減ってくると考えると不動産に手を出すのは不安になります。でも需要のある物件を選べば問題ないと思いませんか。
- 交通の便が良い
- 間取りが使いやすい
- スーパーや学校など周辺環境が整っている
- 駐車場がある
- 日当たりが良い
- インターネット環境が整っている
といったように需要のある物件の条件は明白です。築古でも相応の家賃なら満室を維持できます。実際、私が2棟目に買った築30年以上のアパートも郊外でバス利用にも関わらず、何年も入居してくれている方ばかりです。
「ここなら住みたい」と思える物件を選ぶ。それがいちばんです。とはいえそんな物件みんな欲しがっているのでなかなか見つからないし、見つかっても争奪戦になります。あきらめず粘り強く探すことが大切ですね。
土地として価値のある物件を選ぶ
私のような大きな資産のない普通の会社員が買える物件は、だいたい築古に限られます。
築30年、40年になったアパートを売るとき、買い手なんてつくのかなと思いませんか。
実際、きちんとメンテナンスしないと躯体は傷むし、設備は劣化が進みます。
だから土地の価値を重視します。
建物は古くなると価値が下がりますが、土地の価値は変わりません。価格は経済情勢で変わっても建物のように劣化することはありません。
交通利便性、日当たり、土地の形、周辺環境―。表面的な利回りの高さに惑わされず、土台を見極めるのが重要です。
まとめ:最後は、「楽しんでやろう」という心持ち
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。不安もたくさんあるけど、可能性もあると思いませんか。
不動産投資は始めるまでが怖いです。でも物件を探すワクワク感、融資のOKが出たときのうれしさ、契約時のドキドキ、少しずつ資産が増えていく実感。楽しいです。
もちろん、大変なこともあります。物件価格の2割、3割の自己資金がないと始められない状況でそもそも参入ハードルが高いです。
でも、自己資金を貯めるところも含めて楽しんじゃおうと思えば、ドラクエみたいなRPGのようにレベルアップしていく自分を実感できて楽しいですよ。
大切なのは「楽しんでやろう」という気持ち。そんな姿勢が良い結果につながると思い、進んでいきます。
不動産投資の目標の設定方法について考えた記事もあるのでよかったらこちらもお願いします。
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